そして2人が私の方へ歩いてきました。


狭い道なので、
手の伸びている脇道を通り過ぎる時、
2人の姿で脇道は見えなくなりました。

その見えなくなった数秒の間に、
手も、脇道も、どこかへ消えていて……。



家に帰ってから気が付いたんですけど、
手が出てくる前から、脇道は見えていたんです。

通っていた道よりも、
さらに暗い、曲がり角が。


もしも手が出ていなくて
私があの道を通っていたら。

そうしたら、私、
一体どこへ行っていたんでしょうね。






フーッ


46本目の蝋燭が消えました。




私の姉が、夕方、人気の無い道を
1人で歩いていた時の事だそうです。


後ろから、姉を呼ぶ声が聞こえました。

でも、振り返ってみると誰も居ません。


空耳かなぁと思いながらまた歩き出すと
少しして、また姉の名前が呼ばれました。

でも振り返ると、やっぱり誰も居ない。


姉が進んでも声の大きさは変わらないから
後ろを歩いているはずですよね。

そこは建物も少なくて、
人が隠れられる場所なんてないんです。




名前を呼ばれ続けながらも、
姉は歩き続けました。

時々、振り返りながら。


そしてようやく曲がり角まで出ると
そこで立ち止まり、
相手を待ち伏せしようと決めました。


変わらず姉の名前を呼び続ける誰か。


息を殺し、相手が曲がるのを待ちます。



少しすると追いついた相手の影、
それに続いて相手の姿が見えました。


その声の主は……狸だったそうです。


狸は姉の姿を見ると、
一目散に逃げて行ったそうですよ。




ふっ!


47本目の蝋燭が消えました。




偶然、よくすれ違う人がいるんです。


名前も知らない人なんですけど、
どんな場所に行っても、
必ず、その人とすれ違うんです。


その事に気が付いてからは、
通り過ぎる時に
よく確認するようになったので、
同一人物で、まず間違いないと思います。



それでこの間、
初めて行く所に遊びに行ったんです。

俺、町探索が好きで、
知らない場所でうろうろしてたんですよ。


そしたら、やっぱりそこでも
その人とすれ違ったんです。

偶然も、ここまで来ると凄いなって
そう思ってたんですけど。


その人の歩いてきた方向に進んだら、
建物も道も何も無くて。

つまり、行き止まりだったんですよ。







フーッ


48本目の蝋燭が消えました。




指切り、切り指。
心中立てって言って、愛の証らしいですね


僕には恋人が居たんです。
もう、別れたんですけど。


その相手がね、突然
小包を送ってきて……。

その中身が、小指だったんです。


それだけなら、怖いとか
気持ち悪いとか、思うけど
僕と相手の問題で済むじゃないですか。


でもね、送られてきたの、
1回じゃないかったんです。

暫くすると、2本目が送られてきました。


向こうのご両親にも
連絡はしてみたんですが、
何も無いような感じだったので、
変には思ってたんです。


そしたら、今度は3本目が。


また、4本、5本って……。


一体、誰の指なんでしょうか。

それに、一体何を思ってやっているのか。
僕には想像がつきません。




フーッ


49本目の蝋燭が消えました。




俺には、幼馴染がいるんです。

そいつは俺よりも学年が1つ上で、
怖がりで、よく泣いていました。

泣く理由は大体が、怖い物を見たとか、
怖い話で誰かにからかわれたとか
そういう絡みの事です。


そしてこの話は、
俺がまだ小さい頃の話です。



その日は、俺はたまたま1人で、
近所の子供みんなで作った、
藪の中の秘密基地に行っていました。

そこもまた、幽霊が出ると噂の場所で
面白がって作ってはみたものの、
長居する奴はあんまりいなかったんです。


段ボールで作った部屋と、
元々あった木の窪みに
ドアとして板を立てかけた部屋。

そこに、色々持ち込んで、
隠れ家というより、隠し場所でした。




俺はそこを休憩場所にして、
虫捕りをしていたんです。


それで休んでいると、
木の窪みの方の部屋から、
子供の泣き声が聞こえてきました。


窪みと言っても、
言いやすいからそう呼んでいただけで、
本当はいくつかの木が絡み合って、
トンネル状になっている場所でした。
出口は塞がってるんですけどね。


そこに板を立てかけて、
時々、その上に何かを重ねて
人を閉じ込めたりする奴もいました。

入口は狭いから、
何か重量のある物を置けば
簡単に閉じ込める事が出来たんです。


そのターゲットはいつも幼馴染で、
俺はまたやられてるのかと思い、
とりあえず助けに行く事にしました。




板の上には予想通り、もう1枚板が。

その前に雑誌の束が置かれていて、
やっぱりなと俺は思いました。


それらをどけて、中を覗くと
奥の方に、子供が蹲ってるのが見えます。

開いてる事には気づいてるだろうに、
中の人物は動かないし、
それに、聞こえるのは泣き声ばかりで。


これ以上無反応なら、放置しようと
そう決めてから、一応声をかけました。


『おい、怪我でもしてるのか?』

そう尋ねてみても、返答は無く

しかし泣き声さえも聞こえなくなったので
まさか熱中症にでもなって
声も出なくなったんじゃないよなと、

幼馴染自体は割とどうでもよかったけど、
彼の家族にはいつもお世話になっているし

泣いてる内はまだ何か喋る位できたろうに
無反応だった事にイラついていたけれど
本当に仕方が無く、中に入る事にしました




這いつくばって、1歩中に入った時、
後ろから声がしました。


『何やってんのー?』と尋ねてきた
のんきなそれは、
俺が今まさに様子を見に行こうとしていた
幼馴染の物でした。


近所の子供たちは、
別にいじめっ子だった訳じゃなく、
幼馴染の反応が面白く、ただそれだけで
他の子供を閉じ込めるとか、しなかったんですよ。


外に出て、後ろを見ると、
そこに居たのは確かに幼馴染でした。


俺は彼に、板が倒れないように言いつけ、
中へもう1度入ってみました。