もしもあの手の持ち主が、
私の家族だったなら、何の問題も無い。
でも、もしも変質者、
もしくは人間では無い、何かだったら?
……私は心霊現象や、
そういった物が好きです。
今、こうしている位ですからね。
でも、自分が怖い目に遭うのは別。
皆さんもそうじゃないですか?
こんな暗い中で、
よく見えない相手に手を振る。
普通は、しない事だと思うんです。
ここで引き返すにしても、
後ろから襲われたらどうしよう。
さっきの脇道の先は、行き止まり。
どこかの家に上がらせて貰えればいいけど
駄目だったら、逃げ場はない。
……とりあえず、家に電話しよう。
迎えに来てもらおう。
そう思いました。
電話に出たのは弟で、
丁度家に居た兄と一緒に、
ここまで来てくれるとの事でした。
怪しい人物を見つけたら
すぐとっ捕まえてやるとか、
そんな頼もしい事も言っていました。
だから安心して待っていると、
すぐに2人は脇道から顔を出しました。
……誰かの手のある場所よりも、
少し、先の方から。
そして2人が私の方へ歩いてきました。
狭い道なので、
手の伸びている脇道を通り過ぎる時、
2人の姿で脇道は見えなくなりました。
その見えなくなった数秒の間に、
手も、脇道も、どこかへ消えていて……。
家に帰ってから気が付いたんですけど、
手が出てくる前から、脇道は見えていたんです。
通っていた道よりも、
さらに暗い、曲がり角が。
もしも手が出ていなくて
私があの道を通っていたら。
そうしたら、私、
一体どこへ行っていたんでしょうね。
フーッ
46本目の蝋燭が消えました。
私の姉が、夕方、人気の無い道を
1人で歩いていた時の事だそうです。
後ろから、姉を呼ぶ声が聞こえました。
でも、振り返ってみると誰も居ません。
空耳かなぁと思いながらまた歩き出すと
少しして、また姉の名前が呼ばれました。
でも振り返ると、やっぱり誰も居ない。
姉が進んでも声の大きさは変わらないから
後ろを歩いているはずですよね。
そこは建物も少なくて、
人が隠れられる場所なんてないんです。
名前を呼ばれ続けながらも、
姉は歩き続けました。
時々、振り返りながら。
そしてようやく曲がり角まで出ると
そこで立ち止まり、
相手を待ち伏せしようと決めました。
変わらず姉の名前を呼び続ける誰か。
息を殺し、相手が曲がるのを待ちます。
少しすると追いついた相手の影、
それに続いて相手の姿が見えました。
その声の主は……狸だったそうです。
狸は姉の姿を見ると、
一目散に逃げて行ったそうですよ。
ふっ!
47本目の蝋燭が消えました。
偶然、よくすれ違う人がいるんです。
名前も知らない人なんですけど、
どんな場所に行っても、
必ず、その人とすれ違うんです。
その事に気が付いてからは、
通り過ぎる時に
よく確認するようになったので、
同一人物で、まず間違いないと思います。
それでこの間、
初めて行く所に遊びに行ったんです。
俺、町探索が好きで、
知らない場所でうろうろしてたんですよ。
そしたら、やっぱりそこでも
その人とすれ違ったんです。
偶然も、ここまで来ると凄いなって
そう思ってたんですけど。
その人の歩いてきた方向に進んだら、
建物も道も何も無くて。
つまり、行き止まりだったんですよ。
フーッ
48本目の蝋燭が消えました。
指切り、切り指。
心中立てって言って、愛の証らしいですね
僕には恋人が居たんです。
もう、別れたんですけど。
その相手がね、突然
小包を送ってきて……。
その中身が、小指だったんです。
それだけなら、怖いとか
気持ち悪いとか、思うけど
僕と相手の問題で済むじゃないですか。
でもね、送られてきたの、
1回じゃないかったんです。
暫くすると、2本目が送られてきました。
向こうのご両親にも
連絡はしてみたんですが、
何も無いような感じだったので、
変には思ってたんです。
そしたら、今度は3本目が。
また、4本、5本って……。
一体、誰の指なんでしょうか。
それに、一体何を思ってやっているのか。
僕には想像がつきません。
フーッ
49本目の蝋燭が消えました。
俺には、幼馴染がいるんです。
そいつは俺よりも学年が1つ上で、
怖がりで、よく泣いていました。
泣く理由は大体が、怖い物を見たとか、
怖い話で誰かにからかわれたとか
そういう絡みの事です。
そしてこの話は、
俺がまだ小さい頃の話です。
その日は、俺はたまたま1人で、
近所の子供みんなで作った、
藪の中の秘密基地に行っていました。
そこもまた、幽霊が出ると噂の場所で
面白がって作ってはみたものの、
長居する奴はあんまりいなかったんです。
段ボールで作った部屋と、
元々あった木の窪みに
ドアとして板を立てかけた部屋。
そこに、色々持ち込んで、
隠れ家というより、隠し場所でした。
俺はそこを休憩場所にして、
虫捕りをしていたんです。
それで休んでいると、
木の窪みの方の部屋から、
子供の泣き声が聞こえてきました。
窪みと言っても、
言いやすいからそう呼んでいただけで、
本当はいくつかの木が絡み合って、
トンネル状になっている場所でした。
出口は塞がってるんですけどね。
そこに板を立てかけて、
時々、その上に何かを重ねて
人を閉じ込めたりする奴もいました。
入口は狭いから、
何か重量のある物を置けば
簡単に閉じ込める事が出来たんです。
そのターゲットはいつも幼馴染で、
俺はまたやられてるのかと思い、
とりあえず助けに行く事にしました。