……あれ、何か場違いかな?
まあいいや。
とにかくよろしくね。
あ、ついでにもう1つ。
その際さ、食べた覚えのない物
吐き出しちゃうんだよね。
なんか、ソーセージっぽいのとか。
3つ位に分かれててさ、
曲がってたりする。よくわかんないけど。
これがホラーといえばホラーかな?
まあ、そういう事で。
フッ
40本目の蝋燭が消えました。
41.視界の隅
42.大黒柱
43.人柱
44.隣人
45.画鋲
46.脇道
47.呼んでる
48.偶然
49.指切り
50.泣き声
視界の隅の方……見えるか見えないか
あの微妙な位置に映るモノって気になりませんか?
何かが見えた気がして、
でも振り向くと何も居ない。
そういう事、ありませんか?
例えば道を歩いていて。
通り過ぎたばかりの曲がり角。
そこから誰かが顔を出した気がする。
でも、振り返っても誰もいない。
それに続いて今度は、
前の、向かっていた方に、何かが。
振り返ると、やっぱり何も居ない。
でもね、
後ろでも、前でも無く、
そのどちらでもありうる、視界の隅。
上を向くとね。
本当は、
何かが居たりするのかもしれませんよ。
ふーっ
41本目の蝋燭が消えました。
大黒柱、解りますよね?
人柱じゃないですよ?
大黒柱……家の、一番太い柱。
もしくは、家族や何かを支える人物。
家にも、その柱の方があるんです。
それは丁度家の中心に、
見える形で建っているんですね。
人の方は……うち、父親不在で、
だから多分お母さんが大黒柱ですね。
それで、その柱の前に、
お母さんが毎食ご飯を置くんですよ。
あ、陰膳(かげぜん)って知ってますか?
留守してる人の無事を祈って、
その人の為にご飯を供える事なんですけど
だから、お父さんの為に
ご飯、置いてるのかな?って
そう思ってたんですけど、陰膳って、
その人が食事の時に座っていた席か
床の間に供える物らしいんです。
だから、なんなのかなぁって……。
それで、ある日お母さんが留守で、
私と弟だけで食事をとっていたんです。
勿体ないし、今日はいいかって
陰膳はしないつもりだったんですけど、
弟が、お父さんにもご飯って、
そう言うんでしょうがなく用意したんです
それで、ふと思ったんです。
お母さん、陰膳とか何も言わないのに、
どうして弟は知ってたのかな?と。
だから弟に聞いてみたんですね。
「どうしてこれ、お父さんのなの?」って
それで返ってきたのは、
「だってお父さん、ここにいるもん」
ふーっ
42本目の蝋燭が消えました。
はい、じゃあ俺は人柱ね!
あ、俺が人柱では無いですよ!
そこんところお忘れなくね!
俺の祖父ちゃんの住んでる所、
結構な田舎でさ、
でもっていうか、
だからっていうべきか
かなり広い家なんだよ。
周りもみんな隣との距離はかなりあるけど
うちは特別遠かった。
っていうのも、
近くに川があってさ、
それを渡る為の橋があるんだ。
橋も祖父ちゃんちの物で、
まあ、結構な土地持ち?
そんな感じで。
山も持ってたから、
毎年、夏に遊びに行くのが楽しみなんだ。
あれは俺が小学生の頃だった。
遊びに行ったはいいけど、
丁度、子供たちがまとまって
学校行事でキャンプに出ていたんだ。
遊び相手居なくてつまんねーって
むくれながら歩いてた。
そしたらさ、丁度橋の辺りに
すっごい可愛い女の子が立ってたんだ!
でもその子は着物を着てて、
あ、普通じゃない。
すぐにそう気が付いた。
この橋を作った時に、
女の子が人柱になったって噂もあったし。
でも、本当に物凄い美少女だったんだ。
俺はもちろん声をかけたさ!
『ねえ君、一緒に遊ばない?』って。
それで鬼ごっこをする事になったんだ。
追いかけては捕まって、交代する。
それを5回位繰り返した頃かな。
俺が逃げてて、彼女が鬼。
橋の上を走ってた。
俺を捕まえると思った彼女は、
橋の上から、俺を突き落したんだ。
そして言われたよ。
『あの家の子が死ねばよかったのに』
その顔はとても辛そうで、
まさにその通りだと、俺まで思った。
それでさ、俺、泳ぐの超得意なのよ!
結構深い川だったんだけど、
普通に着衣水泳を少し楽しんで、
その後何事もなく陸に上がった俺を見て、
彼女もすごい驚いてたよ。
それから、また一緒に遊んでさ。
それまでで1番いい夏休みだったよ。
俺の初恋だしね。
毎年、行くたんびに
1回は川に落とされるんだけど、
彼女に会いに行ってるんだ。
もちろん、今年も行くよ。
死ねって言いつつも、
彼女も楽しみにしているようだしね。
フッ
43本目の蝋燭が消えました。