とある学校の、とある教室。
そこに集まった100人の人間。
「さて、みなさん。
蝋燭は行き渡りましたか?」
1人の少女が辺りを見回す。
「大丈夫なようなので、
それでは始めましょう」
そこで仕切り直すように咳払いをひとつ。
「お集まりいただいた皆様、
許可と引率を引き受けてくださった先生
本当にありがとうございます。
今から蝋燭に火を灯しましたら
電気を消します。
それから1人1つ、話をしてください。
内容は、怪談でも噂話でも都市伝説でも
どんなジャンルでも結構です。
それが不可思議な話ならば。
……そうですね、丁度ドアの前にいる
貴方から、で、いいですか?」
少女の問いに、そこに居た生徒は頷いた。
「それではみなさん、蝋燭に火を……」
1.石
2.折り紙
3.ニュース
4.後ろ向き
5.上から
6.包装
7.見えない
8.笑えない
9.止まらない
10.隙間
私は昔、石を集めるのが好きでした。
それは綺麗な、お店で売ってる物でも
道端に落ちている石ころでも、
どちらでも構わず、収集していたのです。
ある夏の日、キャンプに行きました。
川のあるキャンプ場で、
そこは私にとっての天国でした。
なんせ、石が本当にたくさん、
あったのですから。
両親がバーベキューのために
火を起こしている間、私と妹は
川で遊んでいる事にしました。
妹も石が好きだったので、
どちらがより良い石を見つけられるのか
競って川の底に目を凝らしていました。
どれがいいかとじーっと観察していると
キラキラと光る水の中に、
違う光を見つけたのです。
どうやら、何かが太陽光を反射して
まるで自身が発光しているかのようでした
それを拾い上げてみると、とても白い石で
私はこれだ!と、思いました。
妹に自慢げに見せましたが、
何故だか嫌そうな顔をして、
『それ、捨てなよ』と、そう言いました。
私は折角拾ったのだし
こんなに綺麗な石、今まで見た事無い。
絶対にこれは持ち帰って、
コレクションに加えなきゃと、決めました
そして、それは、その日の夜の事です。
川辺から少し離れた所に、
テントを設置して、そこで寝ました。
夜中に、ふと、私は目を覚ましました。
ずるずると何かを引きずるような音が
テントの外から、聞こえてきたからです。
誰か、トイレにでも起きたのかな?
私の家族以外にも、
数組の人たちが
テントを張っていたから、
私はそう思って、寝なおそうとしました。
だけれど、暫く経っても、
物音は続いていました。
何だろう?
何か、探し物でもしてるのかな?
キャンプ場にはライトが設置されていて
その光に照らされて、
人影らしきものが見えていたのです。
それは、体制を低くしていて、
まるでコンタクトレンズでも
探しているかのように見えました。
でもその人は懐中電灯も持っていなさそう
それじゃあ探しにくいだろうと思い、
私は自分のを貸そうかなと
カバンから懐中電灯を取り出し、
外へ出ようとしました、その時です。
それまで寝ていると思っていた妹が、
私の手を掴んで言いました。
『駄目だよ、お姉ちゃん』
「何が?あの人きっと、困ってるよ。
これ貸しに行くだけだし、平気だよ」
夜中に外に出る事を咎めているのだと
思った私は、妹にそう返しました。
『違うよ、あの人が探してるの、
お姉ちゃんの拾ったやつだよ』
アレ。と妹が指さしたのは、
枕元に置いていた、あの白い石でした。
「どうしてそんな事が解るの?」
私が尋ねると、妹はこう答えました。
『だってあれ、足なんだもん。
無いから、歩けないんだよ。
お姉ちゃんがそれを拾ってから、
ずっとこっちを見てたもん』
足?これが?
妹の話は要領が掴めない。
どうしようかと悩みながらも、
きっとこの子は寝ぼけてるんだ。
怖い夢でも見たのね。
だからそんな訳は無いと、
私は再び懐中電灯を手にしました。
そうしてテントを捲ると、
予想していたよりも近くに、
その人の姿はありました。
声をかけようとして、気づきます。
……あの人、足を引き摺ってる。
妹の言った通り、歩けないようでした。
でも怪我か何かをしているのかもしれない
そうは思いましたが、
正直、気持ち悪かったんです。
なんていうか、雰囲気が、違う。
そんな印象を持ちました。
申し訳ないけどやっぱりテントに戻ろう。
そう思い、体を戻そうとしましたが
スイッチを押していた懐中電灯が
うっかりと、外を照らしていました。
いけない!
その光で、人影がこちらを向いた時、
思わずそう思いました。
理由は解りませんが
無性に恐怖を覚えた私は、
急いで体を引っ込ませました。
無事に頭までテントに戻ると、
妹も怯えたように、こちらを見ています。
「……大丈夫よ」
根拠はどこにもありませんが、
私はそう言うしかありませんでした。
忘れて、もう寝てしまおう。
寝袋にもぐりましたが、
やっぱり外からずるずると、
あの音は聞こえ続けています。
そして、音は少しずつ、
自分たちのテントに近づいてきている。
そんな感じがしました。
『……お姉ちゃん』
「き、気のせいよ、大丈夫」
自分でも声が震えているのが解りましたが
そう言い聞かせる以外、何も出来ません。
両親は隣に張ったテントで寝ています。
助けを求めに行くには、
1度、出なければなりません。
ずるずる。
ずりっ。
テントの前で、音が止まりました。
私と妹は、息をひそめて、
どこかへ行くのを、じっと待ちました。
しばらく音は止んでいましたが
少しすると、また引きずる音が始まります
よかった。と、息をついたのもつかの間
音はどうやら、自分たちのテントの横、
後ろ、そしてまた、正面へ。
……回っている。
ぐるぐる、ずりずり。
何周も、繰り返しているようでした。
気が付くと私は妹と抱き合っていました。
無意識にそうする程に、怖かったんです。
そして気が付くと、朝になっていて
お母さんが私たちを起こしに来ました。
安心して外へ出ると、
テントの周りの草は擦り切れていて
何かをひきずったあとが、
確かについていました。