「お前なぁ…気付いとる?」
目を擦りながら、明るく言う。
低いトーンの声で、あたしは返した。
「は?」
「俺は仮面を被ったお前が嫌いなん。
素の不器用な唯のがええって言ってるだけやって。」
胸が一瞬、高鳴った気がした。
昨日から、この感じはなんなのだろうか…。
「どないしたん?」
「いや、別に。」
急に黙り出したあたしに、優斗は目をぱちくりさせ、不思議そうに訊いてきた。
胸が高鳴ったのは、きっと気のせい。
うん、気のせい。
あたしには…。
─ガラッ
「みんな席につけー。」
担任が入ってきて、会話は中断された。