「まぁそんなこんなで、色々あったんよ。

 こんな敏感な俺やから、信用出来る親友なんていなかった。作らなかった。

 一人で居るのは慣れてたから気にしてなかったけど…、

 なんか、久々に哀しくなってん。

 自分の存在の意味が分からなくなってもうた。


 彼女おらんし、男に抱き締めてもらうのは嫌やし、気持ち悪い、

 やから、唯を呼んでん。

 都合よく使ってごめん…。女々しくて、本当にごめん…。」


精一杯笑顔を作ろうとしている優斗を見て、苦しくなった。


優斗を、優斗の心を、どうやったら救えるのだろう。


あたしが虐待を止める?
大の大人に子供相手じゃ無理でしょ。


優斗を慰める?
あたしは上手に言えない。
言いくるめる綺麗事しか出てこないから。


なにもしてあげられない自分を、情けなく感じた。


無力で、切なくて、苦しくて…。


あたしは気づかぬうちに、再び彼を抱き締めていた。


 「唯…?」

 「優斗は女々しくなんかない。

 十分男らしいし、頑張ってるよ…。」


これがあたしの言える、精一杯の言葉だった。