いよいよ始まった入学式。

真美とはクラスが違っていて、ちょっと淋しい・・。

でも新しい出会いが私を待っている気がするから。

私の胸の高鳴りは、まだ治まりそうになかった。

「続いては、新入生代表による挨拶です」

淡々と進められていく入学式。

しかし、急に周りの女子生徒が騒ぎ始めた。

私も釣られるかのように、壇上に視線を向ける。

「新入生代表、『鴫宮 時』」

名前を呼ばれ、壇上に上がってきた男子生徒。

スラッとした背筋に、整えられた顔立ち。

まさしく王子様の様・・。

彼の名前と姿を知った時、私の胸の中で何かが弾けた。

この感覚は、いったい何??

私は我を忘れ、ただ彼を見つめていた。

「ねぇねぇ、あれってさ成績トップだった人がやるんだよね?」

「そうだよ。っていうかカッコイイ人だったよね」

近くの女子の話し声にやっと我に返った時には、彼の挨拶は終わっていた。

やっぱり皆、典型的な王子様好きみたい。

きっと、凄いモテるんだろうな・・。

暢気にそんな事を考えていると、あっという間に入学式は終わってしまった。