目を瞑ったままなので現状は分からないが、身体から重みが消えた。

どうやら起きたらしい・・。

私は寝たフリをしたまま、奴が帰るのをただ待つ。

「寝てたのか・・。しかし、変な夢を見た」

変な夢?

っていうか、こんな秀才でも夢見るのね。

私は当然の事なのに、一人頭の中でツッコミを入れる。

「真心の愛・・・か」

そう呟くと、奴は保健室の扉を開け部屋から出て行った。

彼の言葉に、今まで忘れていた夢の光景が広がる。

あれ、その言葉聞いた事がある・・・。

頭の中でグルグルと回る映像に、私は困惑していた。

彼が去った事を横目で確認してから、私は身体を起こした。

「・・・・もしかして、一緒の夢を見てた?」

そんな偶然が、あるはずない。

『まさかね・・』と、その時の私は自分自身にそう言い聞かせたのだった。