ファンファンファンファンフワワ〜ン・・


不意に、なんとも残念そうな音楽が流れた。


と思うとエレベーターの扉が開き、黄色い目をした可愛らしい少女と黄緑色の目をした少年が乗り込んできた。


「…何、今の音楽。」


葵衣が訊くと、男は実に残念そうに言った。


「目的地に着く前に誰かが乗り込んできたときの音楽。」


「…は?」


「ほら、目的地に着くまでの階で誰かが乗り込んだら、余分に時間かかるじゃん?」


「…それだけの為に?」


葵衣が呆れて訊くと、男は不思議そうに小首を傾げて、「そうだけど?」と言った。