「ん゙〜…」


男は腕捲りをし、右の親指を唇に当てて唸った。


「分かってるわよ。変でしょ!?
だけど、青い服はこれしか無いの!あんただって、わざわざ嫌いな色の服なんて買わないでしょ?」


「…うち来る?」


「…は?」


「美春にコーディネートしてもらう。」


「美春…?って誰…って、ちょっ!」


葵衣の言葉も聞かず、男は手を引き、外へと連れ出した。


「どこ行くの!?」


足の長い男とは違い、葵衣は背が低い。


そのため、葵衣は小走りでついていかざるをえなかった。


「だから、うち。」


「うち…!?」


まさか家に連れ込んで無理矢理…!?


やだやだ!汚れたくない!


「離してっ…!!!」


「着いたぞ。」


「…は?」


見上げた葵衣は愕然とした。


今まで無かったはずの場所に、突如として現れたのだ。


香水の瓶を形どった、メルヘンな建物が。