「――――…8度3分か…。」



体温計を取り出すと
予想通り熱は高かった。


「………珠理さんが帰るまで
俺がここにいるから。
…新しいパジャマに着替えて
もう寝とけ!」


「…うん。」



月穂の部屋のタンスから
適当に服を出した。


そして月穂に手渡した。


何やら月穂は、
赤い顔でじっと俺を見ている……。


もしかして…このパジャマは
お気に入りじゃなかったのか?

やっぱ手前にあった
黒いのにすれば良かったのか?

手前にあるくらいだし
普段からよく着ていたのかもな…。



はぁあ………。
どうなんだろ。


替えたほうがいいのか…?



一人で勝手に悩んで
勝手に妄想していると、


「星…磨…///」


月穂が、か細い声で
俺を呼んだ。



「ん?…どした?」


月穂の声で現実に戻って
ハッと気づき耳を傾けた。


「少し…向こう行ってて……。
…着替え…恥ずかしい////」


「ッ////悪ぃ…。」


…しまった。


いくら幼なじみとはいえ
女子高生の着替えなんか見てたら超変態だし!


バカ…何してんだよ俺!!!



逃げるように
部屋を出て反省した。



あぁ情けねぇ…………。



先ほどの失敗を振り返り
また一人の世界に入っていると、


「星磨…?入っていいよ。」


と、お許しの声が届いたので
恐る恐る扉を開けた。


淡い桃色のパジャマに着替えた月穂がベッド座っている。


やっぱり黒よりこの色のほうが月穂に似合っているだろ!!!


まぁ良かった…………。




またまた一人の世界に入り込んでいると…

「ね…、明日は学校行けないかな…?」

月穂が涙目で話しかけてきた。


「あぁ…この調子だと明日の学校はキツイかもな…。
…だけど無理せずに、ゆっくり治せよ。」



「うん…ありがと。」




かすかに微笑んで、そう囁くともう一度目を閉じ、深い眠りについた。