「ねえ、アンナ」
「はい」
「あなたは私とルシアン様が再び会うことに反対する?」
問い質すような口調ではない。
唯一信頼できる侍女に意見を聞いただけだ。
渋るかと思っていたけれど、アンナは意外にもあっさりと答えた。
「いいえ。私は何よりもリーチェ様のお幸せを望んでいます。お好きになさいませ。……ただし、危ないと思った場合は止めさせていただきます」
小さい頃から私の専属侍女として仕えてくれていたアンナは、いつもこう言って背中を押してくれた。
王女だからできることが少ない私と、いつも一緒にいてくれた。
形式的には主従関係だけど、私たちの絆は親友よりも強い。
「……ありがとう」