俺は、目に見えては曖昧に首をかしげるだけにしておいた。


とりあえず話題を変えるためと、相手の正体を知るためにひとつ質問をした。


「あなたは高貴な方と見受けたが、名を訪ねても?」


女は少し間を開けたあと、無意識にか少し声のトーンを落として言った。



「リーチェと申します」


「リーチェ?第二王女の?」


リーチェは答えるように軽く微笑んだ。


その姿がはかなく咲く花のようだと、柄にもなく思ってしまう。



しかし、やはりと言うべきか、この女が例の第二王女なのか……。


俺は憐れみの気持ちを仮面の下に隠した。