だが、女の目は真っ直ぐで真剣で、何故かはわからないがこの女を信じてみようと思わせる何かがあった。


もし罠だとしても、逃げきれる自信はある。



俺は体の力を抜き、この女に着いていってみようと思った。


普段はこんな危険なこと絶対に考えないのに……



今夜は何かがおかしい。


女は俺を連れて、おそらく彼女の自室と思われるところに入った。


ベランダの扉を開けたところがその部屋だったので、あのベランダもきっとこの女のものだろう。


高そうな椅子に座らされ、目の前の女の侍女らしき者が俺の腕に応急処置を施す。


とりあえず礼は言っておくべきか……


「……ありがとう。どうやら助けてもらったようだ」


「いいえ。構いません」


毅然とした態度を崩さず、女はこちらをじっと見る。