たまきが碧様の顔色をうかがう。


碧様は、何も答えることなく教室を出て行った。


「あちゃー。怒らせたよ。あれは、まずかったか」


苦虫を噛み潰したような顔をするたまき。


「詮索し過ぎ」


すだちが、たまきにツッコむ。


「なんで怒っちゃったの?」


所持していたキャンディの袋を机に置いて中からキャンディを2個取って2人に配りながら疑問をぶつける私。


「彼女のこと知られたくなかったからかな?」


立っていたすだちは席に座って、机に置いてあったお茶を飲みながら言った。


「芸能人でもないのにプライベートな質問はNGか」


「あのね、たまき。ERENAさんはモデルで芸能人です。彼女に迷惑かけたくないんだろうね」


「あー。そうですかい」


「でも、yukiって誰だろう? ERENAの本名は山田花子」


「平凡だなー。美人なのに……。っていうか、すだち本名知ってたんだ。わざわざ聞くことなかったのに。失敗……」


「yukiは、もう1人の彼女ってことになる」


「うん。なるね。yuki-loveだもん」


2人の会話を聞いてると、探偵みたいに思えてきた。


洞察力、鋭い。


「人間関係が複雑になってきたね。ちょっと、整理してみよう」


すだちはそう言うとノートのページを一枚ビリビリッと破った。


「早く! 早く! 30分の休み時間が終わっちゃうよ」


たまきがせかす。