よく恋人の名前をメルアドに設定するんだよね。


「僕のアドレスはyuki-love@……」


それを聞いた
たまきもすだちも一瞬
ビクッと体を動かした。


そして、哀れむような目で私を見る。


なんだろー?



「その……yukiって子……碧君の知り合い……?」


メルアド聞き出し作戦で大成功を収めた、たまきが遠慮がちに尋ねる。


「知り合いといえば知り合いかな」


「それ……モデルのERENAの本名じゃないよね……?」


モデルのERENAの名を出した途端、碧様が豹変。


ムスッと怒った顔付きに変わった。


こわっ!!


どうしたの!?


「なんで知ってるの?」

碧様がたまきを睨んで聞く。


「え?」


「その人のこと」


「いや……あの……その……」


たじろぐたまき。



「たまきは、ERENAさんのファンなんだよ。碧君がERENAさんと知り合いだって誰か言ってたから興味本位で聞いただけ。気を悪くしたならごめんね」


すだち、機転を利かして取り繕う。


でも、碧様はキレたまま……。


元に戻らない。


なんで?


「あっ、あの碧君……? ごめん……。私、聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな?」