「ねーぇ、松島さん?最近研究開発部なんかと仲良くしているらしいじゃない、どうして?」


そう話しかけてくるのは、坪井常務の一人娘で秘書室の坪井陽菜。


…かわいいことはかわいいけど、桐生菜月に比べたら大したことはない。



「…そうですか?業務上の話をしているだけですよ」


「あんな変人たちにかまわないで、たまには私と食事でも行きましょうよ、ね?」


かわいこぶって首を傾げる彼女に嫌気がさしながらも、愛想笑いでその場は切り抜けた。


………まさか、この女が桐生菜月に突っかかっていくなんてそのときは思いもしなかったのだ。