「………あの子はあなたのことが好きなんでしょうね。よかったじゃないですか」 私は彼の方を見ずにそう言った。 しかし、彼は何も言わない。 ―――そのまましばらく、沈黙だけが辺りを包んでいく。 それに耐えきれなかったのは私のほうだった。 「面倒なんですよ。愛だの恋だの、私を巻き込まないでやってくれませんか?」