キーンコーンカーンコーン…
私はいま、学校の前にいる。
あの後すぐお母さんが部屋に戻ってきて
「今週ぐらいは毎日、
学校に行ったらどう?」
と言われたので、しぶしぶ家を出て
正門までは来たものの、
なかなか門をくぐることができないでいた。
もう登校時間はとっくに過ぎていて
遅刻した生徒が何人かいるだけだった
早く行かないと授業に遅刻する。
でもここから先は
あたしにとって地獄のような場所だ。
気は進まないけど行かないと…。
一人、真剣に悩んでいると
「空、お前そこで何やってんだ?」
と言う少し低めの声が聞こえた。
声の主を見ようと前をむいた
あたしの視界にはいってきたのは
出席簿を片手に少し崩したネクタイと
きっちりと整えられた髪を風になびかせ
こちらに向かって歩いてくる担任の姿だった。