「…ハァ」
部屋に入った瞬間ため息が出た。
お風呂は正尚の家で入っていたからすぐにベッドの中に入った。
でもベッドの中に入っても目は覚めている。
考えたくなくても頭の中はやっぱり正尚の事。
正尚と出会ったのは3年前…――――
大学の近くの公園で出会った。
大学から駅に帰ろうとしたあたしは迷子になって近くの公園で困っていた。
そんなあたしに正尚が声を掛けてくれた。
「なにしてるの?」
「え…あ…迷子になっちゃって」
この歳になって迷子って…恥かしい。
「どこに行きたいの?」
「…駅」
「駅はこっちだよ。おいで」
あたしは知らない男に着いて行った。
今思えば知らない人に着いて行くなんて小学生でも危ないと分かるのに
あの時のあたしは迷子になって頭がおかしくなってたと思う。
でも、あたしはあの時の自分の行動で幸せになれた気でいた…。
今の今さっきまで…。