震えた手でアドレス帳を開く。
プルルルル
出ろ
プルルルル
出ろ
プルル『もしもし?』
「どういうことよ……」
『やっと見てくれたの?』
「…削除して……お願い消して」
『嫌に決まってんだろ?あの画像、結構気に入ってんだよね~。
安心して彼氏の横で眠っててさ。
そんな彼氏に写真撮られてて…マジ笑える』
電話ごしで大笑いする正尚の声が聞こえる。
こんな奴が……こんな奴が昨日まで好きだと思ってた自分が恥ずかしい。
『俺ね~メールの通り、麻実が別れる気なら別れてもいいよ?』
「……」
『でも…別れることになったら………分かるよな?』
「…」
あたしがもしも別れを選んだらこの画像をバラまく…
きっと正尚はそう言いたいんだ……。
無言の訴え。
『麻実、どうする?』
「あたしは……」
どうすればいいの?
『悩んでるね~…じゃあ、1週間やるよ』
「……1週間」
『1週間後、また電話する。それまでに答え出しとけよ』
「…」
『じゃあ、1週間後に』
電話が切れた瞬間、涙が一気に流れた。