「あいつは俺から大切なモノを奪ったんだぞ?」
「…」
「俺は麻実がいてくれれば何もいらなかった…そう思えるぐらいお前は大切な存在…なのにあいつがぶち壊した」
「…大地」
「なぁ、麻実」
大地はあたしの方に体を向けた。
「あの日からお前は俺の番号を直拒して家にも来なくなって、メールもアドレス変えてて俺から連絡を絶った…………」
「…うん」
あの時、あたしは大地の話を聞く勇気なんてなかった。
噂を信じ、大地からあたしは逃げた。
大地の口から"浮気していた"なんて聞きたくなかった。
大地から捨てられたくなかったから…。
でも、あたしたちは別れた。
いつの間にか大地と連絡を取らないのが当たり前になり、あたしたちは自然消滅していた。
「別れてから2ヶ月が経った後にまたお前と話せるようになって俺がどれだけ嬉しかったか分かるか?」
あたしたちがまた話すようになったのは自然消滅してから2ヶ月経ってからだ。
廊下ですれ違う瞬間、あたしから挨拶したことがきっかけでまたあたしたちは仲良くなった。
でも関係は"恋人"から"幼なじみ"にと戻っていた。