「あの日、空き教室に田所を呼んで聞いたんだ。
率直に聞いたんだ"お前の好きな人って誰?"って」
大地らしい…。
「…それで?」
「"あたしの好きな人は大地くんだよ。あたしと付き合って"って…」
やっぱり…。
田所さんは大地が好きだったんだ。
高校の時、田所さんとすれ違う度に田所さんはあたしを睨んできた。
今までは、きっと彼女のあたしを嫌ってたんだと思っていた。
だって浮気相手が彼女を好む訳がない。
「俺には麻実がいたしもちろん断った。それで教室を出ようとした…でも不意をつかれた」
「…それがあたしが見た時のこと?」
「…うん」
大地が浮気を知った時、あたしは見てしまった。
空き教室で大地が田所さんとキスをしている所を見てしまった。
あたしは見た瞬間、体が硬直してずっとその場に立ち尽くしていた。
そんなあたしと田所さんは視線が合うと、田所さんはニヤリと笑った。
その瞬間、あたしは大地が浮気してるんだ…って思った。