「ねぇ…なんで?なんで、あの時大地はあたしを裏切ったの……?」
「…麻実」
大地はあたしの名前を呼んだだけで、答えてくれない。
「所詮、大地も男だったんだよね…正尚と一緒だったんだよね」
男は女がいても別の人が欲しくなる生き物。
大地も正尚も男だったんだ。
「麻実…」
大地は悲しそうな顔をしてあたしを見た。
「こんなこといきなり言ってごめん…忘れて」
「…麻実」
「正尚のことは気にしないで。あたしは、大丈夫だから」
「麻実話しを聞いてくれ」
「帰ろう」
「麻実」
「大地、早く車動かして」
「麻実…話し聞けよ」
「…」
「言うから…全部。全部ちゃんと言うから」
「…」
「あの時お前を裏切った時の話し。ちゃんと言うから」
「…分かった。まずは帰ろ?」
「おぅ…」
マンションへの道のりは2人とも無言だった。
大地とはこんな空気でもいつもは心地好かったり気にしない。
でも今は心苦しかった。