《正尚 side》
プルルルル
今は17時か…ギリギリ出れるだろ。
プルルルルプルルルッ『はい』
「出るの遅ぇーよ」
何分コールさせる気だよ。
『正尚、あたしは主婦だよ?あんたみたいな学生とは違って忙しいの』
「はいはい」
いつもの決まり文句が出たよ。
心の中でため息をついた。
『それより何?正尚がこんな夫が帰るギリギリの時間に電話するなんて』
「バレた」
『え?』
「俺とお前の関係が麻実にバレた」
『あらあら』
人の気も知らないで朝海は自分に害がこないからと至って冷静だ。
『バレてどうなったの?』
「フラれた」
解りやすく一言で言うと、朝海は大笑いをした。
「笑うなよ…」
『だって…浮気がバレてすぐ捨てられるなんて格好悪』
「…うっせーよ」
朝海と話しているせいで怒りが増していく。
『で?正尚はそのまま何もせずフラれちゃったの?』
朝海の問いにニヤリと笑った。