「麻実、俺は別れる気はないから」
「何言ってんの。正尚が浮気したからでしょ?」
「あ―…知ってたんだ」
正尚は浮気をしていたことをあっさり認めた。
あれ…なんだかこれ似てる。
あたしが見たあの悪夢の内容と似ている。
「俺、浮気?してたけど麻実を離すつもりないよ」
「何言ってんの?浮気したのは正尚なのに…勝手なこと言わないでよ。
ねぇ、あたしと別れてよ」
怖い。
夢の時と言葉が少し違うけど流れが夢と一緒だ…。
「別れねーよ。お前は俺から逃げられねーよ?」
いつもの正尚は言葉遣いがきちんとしていてるのに、
目の前にいる正尚の言葉遣いが雑になっている。
これが本当の正尚なの…?
「俺はお前を逃がさない」
鳥肌が立つ様な不気味な笑顔で笑う正尚。
夢と一緒だ…。
確か夢の中では正尚に捕まって闇に飲まれる。
逃げなきゃ!
あたしは正尚から離れるとエレベーターに向かって走った。
「麻実っ」
後ろから正尚があたしの名前を叫ぶけどあたしは逃げた。
怖い。
正尚が怖い。