「ここか…?」
「…うん」
正尚のマンションの前に着いたけれど、車から出られない。
「麻実?出ないのか?」
「…」
今さらになって正尚と別れることに戸惑いを感じる。
「ハァ…麻実。どーせお前ここまで来て気持ちが揺らいでるんだろ」
大地にはあたしの気持ちなんてお見通しだ。
「なぁ、麻実…お前が別れようか別れないか決めても別に俺には関係ない。でもな」
大地の目は真剣だった。
「あいつは2年間だ。お前と付き合い始めた頃からお前を騙してたんだぞ?」
そうだ。
正尚はあたしと出会った頃から騙してたんだ。
あたしの気持ちを遊んでたんだ…。
揺らいでいた気持ちが1つに決まった。
「…行ってくる」
「待っててやるから」
「うん…行ってきます」
大地は関係ないのに、ここまであたしの為に言ってくれる。
大地は背中を押してくれた。
その大地の気持ちに答えなきゃ…。