「だんだん暗闇が近づいてきて…あたしも暗闇に呑まれるの」
あたしはまた大地に抱き着いた。
「怖かったな…」
大地の匂いには安心する。
「…うん」
「怖がらなくても、もう大丈夫だから」
「うん…」
「俺がいるから」
「うん…」
ねぇ、大地。
あなたはあたしの唯一安心できる場所だよ…。
「寝るか?」
「嫌だ…寝たくない」
また寝て同じ夢を見たら嫌だ。
「じゃあ、テレビでも観るか?」
「うん…でも大地は大丈夫?眠くない?」
自分から我が儘を言ったのに、今は深夜4時…。
普通ならまだ眠たい時間だ。
「なに気使ってんだよ。俺も目が覚めてテレビが観たくなったんだよ」
大地はいつもは小さな我が儘を言うと文句ばっか言う癖に
あたしが本気で言う我が儘には優しい嘘で答えてくれる。
あたしはそういう大地が大好き"だった"…。