「…じゃあ、一緒に取りに行くか?」




「…うん」




小さな声で返事をすると、大地はちゃんと聞いていてくれた。



「じゃあリビング行くぞ」




「うん」




あたしは小さな子どものように大地にしがみついたままリビングに向かう。



そんなあたしを大地は優しく頭を撫でてくれていた。





「ほら、ゆっくり飲め」




「…ありがとう」




大地に水が入っているペットボトルを渡され、ゆっくり喉を潤す。




「…ハァ」




「落ち着いたか?」




「うん…」




「よかった…怖い夢でも見たのか?」




「うん…目を開けたらね、真っ暗な暗闇の中にいたの」




「それが怖かったのか?」




「それだけじゃないの…正尚が出てきてね、こっち来いって笑って言うの」




「それで?」




「あたしが行かないって言ったら怖い笑顔で笑うの」




「…」




「それで言うの…逃がさないって」




暗くて…怖くて…正尚に捕まったらもう帰ってこれないと思った。