目を開ければ真っ暗な世界。
ここはどこ…?
いきなりのことで焦っていると、後ろから声を掛けられた。
「あーさみっ」
振り返ると
「…正尚」
暗闇の中にポツンと正尚が笑って立っていた。
「麻実来て」
正尚は笑顔で腕を広げた。
前のあたしなら笑顔で正尚の元に向かっていたのに…今は
「嫌…正尚……別れよう」
浮気した正尚の所なんて行きたくない。
「麻実、早く」
あたしが拒否しても正尚は聞こえてないのか催促してくる。
「嫌…行かない。正尚、別れて」
あたしの言葉がやっと聞こえたのか、正尚は今さっきまで笑顔だったのに無表情になった。
でもすぐに笑顔を取り戻した。
「麻実、俺は別れる気はないから」
「何言ってんの。正尚が浮気したからでしょ?」
「あ―…知ってたんだ」
正尚は浮気をしていたことをあっさり認めた。