「朝海っていう名前だった」
「…もういいから」
大地の腕の力がだんだん強くなっていく。
「あっちとは4年も付き合ってた…」
「麻実…もういいから」
息ができないぐらい大地はあたしを強く優しく抱き締めた。
「大地…苦しいよ」
「うるせー…黙っとけ」
「…大地」
「なんだよ?」
「…なんだか"あの頃"を思い出しちゃうね」
公園でも思ったことをつい言ってしまった。
「…」
あの頃も、泣いたら大地は強く抱きしめて慰められたりしてくれた…。
「大丈夫。あたしはもう大地のことをちゃんと男友達と思ってるから…」
「…ん」
2年前のあの日にあたしは大地への気持ちを捨てたんだ。