「あの2人はきっと幸せなはずよ。きっと…」






そう呟いた華さんの手は震えていた。悲しみをこらえているのだろう。



父さんも華さんもなんで2人が幸せだと思ったんだろう。




50年間離ればなれでいて、結局一緒にいれたのはこの1年だけ。



2人は本当に幸せに逝けたのかな?







僕はそんなことを思いながら家に戻った。









その夜、急遽通夜が行われた。急な2人の死に混乱も大きかったようだ。多くの人が家を訪ねてきた。






遺産目当てにやってきた親族もいたが、元々父さんに【全て譲る】と弁護士に話してあったらしく、大きな問題が起きることはなかった。




華さんは退院の手続きが間に合わなかったらしく、明日の葬儀に参加することになった。