「父さん、本当の幸せって?」






父さんは少し泣き腫らした目を細め、眉を少し情けなく下げていた。







「…俺は本当は母さんとの結婚を反対されていたんだ。階級が違うだの周りから色々言われてな。その中で賛成してくれたのは龍之介さんだけだったんだ。【私は愛する人と結婚できなかった。アナタは愛する人と本当の幸せを手に入れてほしい】と言ってくれたんだ」









結婚を反対されていたなんて初耳だ。でも、この家のことだから本当なのだろう。



そして、龍之介さんらしいと思った。父さんのことを息子のように思っていたらしいから、本当に幸せを願って言ったのだろう。