「あの、薫子さんは何故あのカプセルの中に50年も入っていたんですか?」





僕が質問すると薫子さんは、地面に置いていたナイフを手に取り、足まで伸びた長い髪を丁寧に切り始めた。






「人体蘇生実験をやった魔女」



「え?」







魔女?

しかも、人体蘇生って…。


薫子さんは、髪を切りながら口をまた開いた。








「私ね、元々化学者だったんだよ。小さい頃から実験道具に囲まれて生活をしてきた。実験はたくさんしてきたけど、人体蘇生なんて専門外。しかも、禁忌だったし手を着けようなんて思ったこともなかった。見に覚えのない濡れ衣だ。でも、私の実験室から次々と証拠が出てきたらしくて、弁解など聞いちゃくれない。しかも、結婚当日に花嫁姿のまま連行されてさ。本当に笑えねぇよ」










言い終わると同時に薫子さんはナイフを地面に叩きつけた。よほど悔しかったのだろう。雰囲気が殺気立っている。