「なんとか了解もらえたよ!あ、でも10時半までには帰らないといけないけど……大丈夫?」

『全っっ然!大丈夫すぎるよ!』

……なんか日本語おかしくない?

「あ、うん!分かったけど、私どうすればいい?」

『あーうん、ちょっと蒼空とかに聞いてくる!』

やっぱり、出るのが遅かった所為で、近くにいないのかな?

「分かった!」

通話は途切れ、保留の音楽へと変わった。

できれば、遠くは行きたくないんだけどなぁ…。

なんて思っていると、音楽は終わり、翔の声が聞こえてきた。

『もしもし?!待たせてごめん!』

いや、1分くらいしか経ってないけど…。

「全然待ってないよ」

『ならよかった〜!えっとー、前行ったラーメン屋覚えてる?』

ラーメン屋…ラーメン屋……。

………あ!

「あのやくざのたまり場!」

『うん、やくざじゃないけどね』

あ、そうだった……!

「確か名前は〜…」

変な名前だった!

……ん〜っと……、

『“味最強!”でしょ?』

「そうそれそれ!笑っちゃうよね〜!ネーミングセンスなさすぎ!」

笑いながら言うと、返答は返ってこなかった。

「翔…?」