「……誰に会うんだ?」
やっぱりキター……!
どうしようっ…!
「だ、誰だと思う〜?」
ふざけて言ってみるが、
「誰だ」
無様…。
「ら、雷斗…」
ここは1番マシだと思った答えを言った。
…はずだったんだけど、
「ああん?」
そうでもなかったらしい。
「お願い!やましいことはないよ!ただ、どうしても……」
目を潤わせて、上目遣いで言う。
お父さんの眉がピクッと動いたことを、私は見逃さなかった。
ごめんね、お父さん。
お父さんの弱点、分かってるんだ。
今回ばかりは……ごめん!
「お願いお願いお願いー!」
「……っ…、たぁぁぁっく!分かった分かった!そのかわり、10時半には帰ってこいよ?!」
やった……!
許可がおりました〜!
「了ー解しました!」
敬礼をしつつ、時計を見ると、保留から既に5分たっていた。
やっば!もう切れてるかも!
「んじゃ!」
そう言って、リビングをそそくさと出て、部屋に戻った。
すると、まだ保留中になっていて、安心した。
通話に戻して慌てて「もしもし?!」と言うと、『はいはいはい』と翔の返事が返ってきた。
本当、申し訳ない。