冬休みに入って、数日。
もうそろそろクリスマスだ。
街は飾っていて、夜になると、ネオン街にいるような気分になる。
……――夜、8時。
「真麻ー、ご飯できたぞー」
窓の外、夜景を眺めていると、お父さんの声が響いた。
「はいはーい、今いく」
カーテンをしめ、ダイニングへ向かうと、そこには豪華な夜ご飯が並べてあった。
「どうしたの?これ。クリスマスはまだ先だよ?」
「なんか腕がなってよー!雷斗も来ればよかったのにな?」
お父さんは雷斗を実の息子のように接してくれるようになった。
それがとても嬉しくて、お父さんの口から“雷斗”という名前が出ると、いまだにテンションがあがる。
「そーだよねー?ほんと、大歓迎なのに!」
笑いながら、机に並べられたポトフを食べる。
「あ、コレうまっ!」
「だろだろ?俺、コックさんになれるよな〜?」
「あー無理無理。そこまでは言ってないからー」
そんな会話をしているとき、
“ブーッブーッブーッ”
部屋で携帯が鳴ってるなんて、気づかなかった。
大事な大事な電話を……、
“ブーッブーッ………”
出なかった。
「お父さん!口!ついてる!」
「あん?うわっ、汚ねぇっ!」