「俺、なんて謝ればいいか……」
額に手の甲をあてて、唸る雷斗が少し面白くて、
「……プッ」
思わず吹き出してしまった…。
2人の視線が私にむかれた。
「……ブハッ」
と、同時にお父さんも吹き出した。
「「アハハハ!」」
私とお父さんの甲高い笑い声が響く。
「…え、ちょ、何笑ってんスか?!」
更に焦る雷斗を見て、笑いがとまらない。
「ヒーヒーッ…」
お父さんなんか、息切れしてるし…。
「はぁ…はぁ…くっ…はぁ…」
なんとか私も笑いを堪えて、笑い声で包まれていたリビングは、一定のリズムの息切れに包まれた。
「あの…、俺なんかしました?」
疑問形で聞いてくる雷斗に、また吹き出しそうになったけど、ちゃんと抑えた。
「別に、お前は悪くねーよ!俺らの自己満足だから。な?真麻」
振られた言葉に頷く。
「そうだよ。もー本気で焦った!」
笑いながら言うと、雷斗は微笑んだ。
先ほどまで話してた会話は今となってはなかったよう。
その方が楽だけど、私はまだ不安。
いや、不安とゆうか、怖い。
迷惑かけすぎて、しかも相手は暴走族で……。
その世界に間違えて入ってしまった足は、もう下がれない。
下がるには、戦うしかない。
なんだか、命が賭けられてるようで……とても怖かった。