「めんどくさいんでしょ?…ならいいよ、1人で帰る」
私は雷斗を置いて歩き始める。
やっと公認してもらえたのに、すぐ喧嘩。
好きなのに、幸せは一瞬だけ。
今は幸せよりも辛いよ……。
距離が離れていく。
気持ちも……体も…。
雷斗が本当に私が好きなのか、わかってるけどわからない。
お父さんに言ってるときの姿は、確かに凄く愛を感じた。
……でも今は?
私はいつでも逢いたいよ…?
雷斗は違うんだよね?
深く考えれば考えるほど…胸が痛い。
溢れだす涙を隠すように俯きながら歩く。
どこかで期待してた…。
すぐ追いかけてくれるって…。
でも……十歩歩いても…、二十歩歩いても……。
私の名前を呼ぶ声が聞こえない。
私の手を掴んでくれない。
……抱きしめて、くれない。
温もりが伝わってこないよ……。
涙は止まらない。
拭いても拭いても…、止まらない。
三十歩歩いたとき……、
「待てよ」
背中に温もりを感じた。
今にも消えそうな声も聞こえた。
私の涙も、悲し涙が一瞬とまり、次には嬉し涙が流れた。
ここのところ泣いてばっかり。
ここのところ抱きしめてもらってばっかり。
それでも……、それによって愛を感じる私は……。
欲張りなのかな…?
自己中なのかな…?