あのあと翔がどうなったのか、凄く気になる…。
ま、今度聞けばいっか!
手を繋ぎながら雷斗と歩く。
家分かるのかな…?
いや、新しい住所まだ教えてない!
不安になった私は雷斗に聞いてみると…、
「……知らねぇ」
…………。
分からないのに歩いてきたわけ?
ってことは、勘?!
…………。
「はぁー、」
盛大な溜め息をつくと、鼻を摘まれた。
「ぬ?!」
思わず変な声が出て、恥ずかしくなり雷斗の手を放そうとするが、男の力には勝てない。
「なひふんのー(なにすんのー)」
地味に痛いし……っ!
半涙目で雷斗を見ると、真剣な顔をしていた。
自然と放そうとする手の力が弱まる。
目が合ったと同時に、雷斗も鼻を摘む力が弱まり、しまいには放れた。
すると、いきなり抱きついてきて、肩に顔をうめてきた。
「ら…雷斗?」
びっくりして、いつもより少し高めの声が出る。
だけど、返事は返ってこず、ずっと無言。
「雷斗…?」
2回目。
普通の声のトーンを出せた。
でも、やっぱり返事は返ってこなくて、口からは返ってこなくても、体からは返ってきた。
力が強くなってる。
苦しいまではいかないけど、感じる。