−雷斗Side−
「はい」
真麻の携帯のはずなのに、
「もしもし?」
出たのは男。
「誰だ」
まさかっ、誰かに拉致られたんじゃ……、
「翔だよー」
……幼なじみクンかよ。
つうか、なんで男といんだよ。
「真麻の携帯で出るもんだから、拉致られたと思ったじゃねーかよ」
笑いながら言うと、
「次期……ね」
真剣な声で言ってきた。
そのとき、俺は一瞬背中に悪寒が走った。
「どういう意味だ」
このときから俺は、冷静さをなくしていたのかもしれない。
「実は、――……」
今日起こったことを一部始終、ちゃんと話してくれた。
翔ってやつは悪くないのに…、
「ざけんなよ、てめぇ!真麻に何かあったらぶっ殺す!!」
怒鳴ってた。
周りにいた人は、いきなり声を上げた俺を怪訝そうに見ていた。
「すまねぇ」
こいつは悪くないのにな。
「今すぐ向かう」
俺は電話を切り、お袋のもとに向かった。
見つけると、まだ店員とペラペラ話してた。
「お袋」
「なぁに?」
「俺、向かうとこあるから」
そう言って、出口の方を向いて走った。
「ちょっ、雷斗ー?」
ごめん、お袋。
俺、真麻に会いてぇんだ。