でもね、翔は言った。

「あまり1人で歩かないでね?」

そう、いつでも私を思ってくれる。

本当、家族みたいに。

だから私は、翔の胸に拳を押すようにあてて、

「大丈夫だよ、バーカ」

と、笑った。

でも、翔は真剣な表情で私を抱きしめた。

「し、翔?!」

なんでっ、こんなことすんの?

「怖いんだよ、俺だって。真麻を危ないことに巻き込みたくないんだよ」

と、力強く静かな声で言い、抱きしめる強さが増した。

「翔?」

翔は分かってた。

これから、どんなことが起こりそうだとか…。

「ごめん、真麻の彼氏……えーっと…」

翔は私をひきはなした。

私の彼氏って、雷斗のことだよね?

「雷斗のこと?」

「あぁ!そいつ!」

雷斗がどうかしたのかな?

「番号教えて!」

「えー、なんでよ?」

雷斗が翔になんかした?

「ちょっと、頼むよ!」

「んー……」

「頼む!」

「分かったよ!」

あまりにもしつこいから、別にいいや。

私はポケットから携帯をだし、翔に渡した。

「え?」

「めんどくさいからかけて」

「ん、分かった」

翔は、私から少し離れた場所に行った。

聞かれたらマズいの?

ま、いいや。

またまた1人になった私は、ベンチに座って、翔が戻ってくるのを待つことにした。