「なんでここにいんの?!」
焦る翔を可笑しく思った。
「なんでって……、散歩してた」
私は、翔の世界を甘く見すぎてた…。
「あーー!…おい、てめぇら!」
“あーー!”って声は普通だったのに、“おい、てめぇら!”という声は低くて強い。
いや、本当の声が低くて強いのかもしれない。
翔のことだから、私を怖がらせないようにと、愛嬌のわくような声を出しているのだろう。
翔が叫んだ目線を辿っていくと、さっきいたはずの男5人はもういなくなっていた。
「チッ、あいつらっ!」
まだ物足りなかったのかと思った私はバカ。
「どうしたのー?」
翔が事実を言うはずないのに……。
「いや、なんでもないよ?」
……ね?
私が気づいてないとでも、思っているのかな……。
バッチリ分かりますよ。
けど、ここはあえて聞かない方がいいと思った。
だって、翔があまりにも哀しそうな表情するから。
でも、話がついたら教えてよね。
私は少し不安な気持ちを残して、小さく頷いた。