「知らないならそれで良い」

「な、なあ!」

 粘っても教えてくれそうにない。

 だったらそれは諦めて、ライカはもう一つ気になることで再び呼び止めた。

 本当に悪人ではないのかもしれない、呼び止めに応じる必要はないというのにベリルは止まって振り返る。

「その動きさ、誰かに教わったのか?」

「何故だね」

「俺の知り合いに、似てるんだ」

 躊躇いがちに言葉をやや詰まらせる。

「基本的な格闘術は昔に学んだが現在はそれらを組み合わせている」

「そうか、ならいいんだ」

 つまりは誰にも学んでないという事かと目を伏せた。