当のライカはあっちこっち行きやがってとベリルに腹が立っている。

 連続の長距離移動に嫌気が差していた。

 アイオワ州の寂(さび)れた町外れ、歩いている人もほとんど見かけない一角にて二人は向き合っていた。

「一つ訊きたいのだが」

「依頼主は言わねぇぞ」

 そこだけはきっちり守らないと信用に関わる。

 依頼内容をベラベラ喋るような人間に依頼などしてくるはずもないのだから。

「私の何を聞いて依頼を受けた」

「えっ? えと、それは~……。えーと?」

 そういえば具体的なことは聞いてない。

 いくら思い出そうとしても記憶には見つからない。