◎ 未緒-Side-
「ねぇー翼!どっか行こうよ!」
せっかくの休日なのに翼はどこも行こうとしない。
私はどこかに行きたくてうずうずしているというのに…
「えーめんどいじゃん?」
めんどいとか言うし…はぁ〜。
「それより…」
?
「それより…何よ?」
すると翼がニヤリと笑った…気がする。
えっ、何?
何かしようとしてんの?
「未緒、こっち来て?」
翼はソファーに横になってた体を起こした。
なんだろう?
言われるまま、
「何ー?」と
少し首を傾げてから、翼の元に近づく。
グイッ。
「ひゃわあっ」
突然、翼が引っ張るもんだから色気のない声が出た。
それが恥ずかしくて、抱き寄せられた
翼の腕の中に顔を伏せた。
「なーに?未緒、甘えてんの?」
それを翼が誤解したらしく、腕の中でさらに力が増した。
「あ、甘えてなんかないもん!」
わわっ私、今噛んだ。
恥ずかしい。
「ふーん…」
顔をまたもや赤くしていると、
「ねぇ未緒?未緒から甘い匂いがするんだけど…」
「だっ、だって苺の飴舐めてるもんっ!」
「…甘い?」
「甘いよ?そりゃあ、飴だし、苺だし…」
「…その飴ちょーだい?」
確かもう一個あったような…
「いいよ!あっちにもう一個あったからそれ持ってきてあげるね」
私は翼の腕を解き、飴のある方へ向かおうとした。
…が、
「いい。これ貰うから」
翼が離してくれるはずもなく、また抱き寄せられる。
これと言って翼が指で指したのは、私の口で…
え?
私の口の中の飴を、貰う?
頭にいくつもの"?"の文字。
「えーっと…どうやって?」
「こうやって!」
そう言った途端、
翼の顔が近付いて来て…
クイッと顎を上げられ、
「…ちょっ…んっ…んんっ」
「…ぷはっ」
やっと解放された口に沢山の空気を入れて落ち着かせる。
数秒間、翼にキスされていた私の顔はほてりまくり。
普通じゃないやつ。
ディープキス。
「あ〜ほんと甘ぇーな!」
しかも翼は私の飴を奪っていった。
「不意打ち…ずるい!」
私は、はあはあと肩で大きく深呼吸をする。
「ずるくてけっこう!未緒てっば、ほんと可愛すぎ!」