「うん、大丈夫だよ」

「じゃあ、後20分後に迎えに行くよ。」

「わかった。じゃあ、また。」


前と変わらない。稔はいつも、私の準備の時間を考えて迎えにくる。


前となんにも、変わらない。

20分後、きっかりに稔が迎えに来た。


それが、当然かのように助手席に乗り込む。


しばらくの沈黙。話す言葉が見つからない。

ここだけは前と違う。これが、5年間の私と稔距離なんだね。


稔の車はただひたすら走り続けた。

走り続けて、昔、二人でよく来た二人だけの秘密の場所まで来てしまった。

「ごめんな、急に会えるかなんて。迷惑だよな?」

迷惑なんて…むしろ、逆だよ。

「ん…まぁまぁかな?」

って変な答えだし!テンパってるし!

「まぁまぁって変だろ!」

「だよね?」

二人、初めて笑い合った。


「迷惑なんかじゃないよ。嬉しかったよ。」


「お前、嬉しかったとか言うなよ!結婚するんだろ!?」


「…うん。…ごめん。」

「お前が謝るなよ!どうしたらいいかわかんなくなるから」


「…そっか。…ごめん。」