【短編】人を好きになった、ライオン。



俺は、ライオンの

"心太(しんた)"。


ちなみにあだ名はというと…


"ところてん"


親も、もっとちゃんと考えてつけてほしかった。


名前の由来は、も~~~~~んのすごく適当で、




"「お父さんの大好物だから"」





って理由で付けられた…。




俺は、今
ある動物園で飼育されている。





ここに来る子供たちは、俺の気持ちも考えず


"「怖い」"とか
"「気持ち悪い」"


言ってくるけど、
ただ、あくびしてのんびりしてるだけであって、いい加減疲れた。




そんなある日
泣きながら
俺を見つめている女の人がいた。




彼女は、それほど美人でもなく、
暗いか明るいか
どちらかと聞かれるときっと俺は
"暗い方"だと言うだろう。




俺は、そんな彼女の涙を見て
なぜたがわからないけど、


"好きになってしまった。"







でも
俺は、ライオン…
彼女は、人間…。






「ガォ―」




試しに吠えてみる。



ヤッパリ君も
俺を嫌うのかな…。












…違った。









優しい笑顔で俺の気持ちをわかるかのように俺を見てくる。




俺は、思った
"彼女は、違う"と。




俺は、もうはっきり言えるようになった。
確信に変わった。




"俺は、君が好きだ"…。






どんどん…どんどん…


一秒、一秒少しずつ
でも、確実に…
君を大好きになってく。






人を…
好きになってくのがわかる…。




気持ちは、どんどん膨れ上がって
大きくなってって……。





俺は、押さえきれない気持ちを胸に
君の元(胸)へと飛んだ。




俺は、
"君は俺を受け止めてくれる"
という、勝手な希望…
確信で君を抱きしめにいった…。