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久しぶりとは言えない飲み会では、もうすっかり往年の仲間同士の様な雰囲気だった。
結局圭吾と伊織ちゃんは付き合うことになったみたいで、みんなにいじられながら幸せオーラを醸し出している。
そんな中、芹梨も笑顔を絶やさずにみんなと盛り上がっていた。
そんな芹梨を視界の端で眺めながら、この前の紺とのやり取りを思い出す。
あの日の封筒は、今俺の鞄の中だ。
適当なタイミングで渡せばいいものの、うまく芹梨と話せる自信がない。
事実、今日はまだ芹梨とは一言も話していない。そんな事実が、また俺を焦らせる。
今日は斜め前に座っている芹梨。
ビールを飲みながら、彼女の横顔を盗み見る。
細い体型に比べたら、少しふっくらしている頬。笑うとそこがくっと上がり、可愛らしい丸みを見せる。
彼女の笑顔を見ていると、あの写真の笑顔を思い出して、何故か胸が苦しくなった。
…たかがカットモデルじゃないか。
なのに何で、こんなに心が揺さぶられるのか。
考えない様に一気に残っていたビールを飲み干した時だった。
「あれ、紺じゃん!」
圭吾の声で、皆の視線が入り口に向いた。