髪の長さは変わっていない。
ただその裾が、綺麗にカーブしている。
ふわりとしたその髪型が、黒髪でも重い雰囲気を出していない。
写真の真ん中では、そんな髪型の芹梨が綺麗な笑顔を見せていた。
少し斜めのその笑顔。
綺麗なチークが白い頬に映えている。
すぐにわかった。
これは、紺がやったメイクだ。
そしてその服。
それは、あの日俺と選んだブラウス。
一緒に服を選んで欲しいと言った芹梨。
それは、この日の為の。
…何だ。
この、重苦しい気持ちは。
俺はその綺麗な芹梨の写真を、すぐに封筒に仕舞った。
俺が選んだ服を着て、紺にメイクをしてもらい、最高に綺麗な姿を見せている芹梨。
近付いていると思っていた。
自惚れていると言っても、過言じゃなかった。
でもそれは、あくまで俺の方からの解釈で。
芹梨の気持ちは、何一つ知らない。